令和9年度報酬改定。工賃や利用時間だけで測れない「働くこと」の価値
工賃や利用時間だけで測れない「働くこと」の価値 ~令和9年度報酬改定に思うこと~
令和9年度の障害福祉サービス等報酬改定に向けて、就労継続支援B型のスコア方式について議論されています。
現在のB型は平均工賃月額を中心に評価される仕組みですが、工賃や利用時間だけで事業所の支援の質を測れるのだろうかと、以前から疑問に感じています。
もちろん、工賃を上げることは大切ですし、長時間働けるようになることも、一つの成果だと思います。
ただ、気になっているのは、国が進めている精神科病院からの地域移行との関係です。
国は「入院医療中心から地域生活中心へ」という方針を掲げています。
長期間入院していた方が地域で暮らし始め、少しずつ社会とのつながりを取り戻していく。
その過程で、就労継続支援B型が果たす役割は大きいと思っています。
退院したばかりの方が、最初から長時間働けるとは限りません。
まずは決まった時間に家を出ること、人と関わること、安心して通える場所を見つけること。生活の支援を受けながら働くこと。
それだけでも、大きな一歩だと思います。
こうした話をすると、「それなら生活介護や自立訓練(生活訓練)を利用すればいいのでは?」という意見もあるかもしれません。
もちろん、それぞれのサービスには大切な役割があります。
ただ、私は「働く」ということには、それだけでは代えられない意味があると思っています。
自分には仕事がある。自分の役割がある。誰かの役に立っている。
たとえ短い時間でも、仕事を通じて社会とつながっているという実感。
それが、その人の居場所になり、自信になり、アイデンティティにもなっていくのだと思います。
働くことの価値は、稼いだ金額や働いた時間だけで決まるものではありません。
ミラクル5でも、病院への同行や退院に向けた支援、役所での手続きなど、作業以外のさまざまな支援に関わっています。
こうしたことは、工賃の数字には表れません。
一方では精神科病院からの地域移行を推進し、もう一方では工賃や利用時間によって事業所を評価する。
その結果、短時間しか働けない方を受け入れることが、事業所の経営上の負担になってしまうとしたら、制度として少し矛盾しているように感じます。
もちろん、短時間利用を安易に収益につなげるような事業所への対策は必要でしょう。
ただ、そのために、本当に支援を必要としている方が働く機会を失うことになっては、本末転倒です。
ミラクル5では「競争より協働」「効率より安心」を大切にしています。
工賃を上げる努力も続けていきます。
でも、それと同じくらい、働きたいと思う方が、その人なりの働き方で社会とつながっていけることを大切にしたいと思っています。
1時間働くことにも、1日働くことにも、それぞれの意味があります。
報酬改定が、そうした数字だけでは見えない「働くことの価値」にも目を向けたものになってほしいと思います。




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